思考の補助線

徒然なるままに、思ったことを書き留めます。

"たった一秒の永遠 "をつくる「IF ONLY FOR A SECOND」

毎週出会った「アイデアの種」トップ3を、

自分なりに深堀りして書き留めます。

 

今週の第1位は、

ガン患者の生活の質の改善に取り組む団体が実施した、

"たった一秒だけでも"ガンから解き放つ

「IF ONLY FOR A SECOND」です。


IF ONLY FOR A SECOND // Mimi Foundation // EN ...

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「一度ガンと診断されると、常にその恐怖を抱えて生きなければならない。その事が頭を離れることは片時も無い。」

 

そんな、当事者にしかわからない心の奥深くに寄り添って企画された、

素晴らしいプロジェクト。

 

目を瞑っている間に華やかなメイクを施し、変身させて、

鏡の前に座ってもらう。

そして目を見開き、驚く、その瞬間の"1秒"を切り取った企画です。

 

 

驚き笑う患者の方々やそのご家族の姿をみれば、

いちいち素晴らしいだなんて口にするのも少しおこがましいですが...

そこで終わってしまうと大切な何かを見落とす気がしたので、再考します。

 

 

まず、こうしたシビアな"既に起こっている問題・悲しみ"に対し、

"ポジティブな取り組み"を行うことは相当難しいように思います。

 

よくある話ですが、例えば貧困地域の子ども達に対して

「彼らにサッカーボールを寄付します」というと、

「彼らが本当にそういうことを望んでいるのか。」

「衣食住などが先で、そういったものは先進国の押しつけだ。」

みたいな言葉が返ってくる。

(現地の人からというより、批評家っぽい同国人からが多い気がしますが。)

 

その言葉は正しいのか、正しくないのか。

その正しさは、どうやったら証明できるのか。

 

問題の渦中に立たされている人の気持ちはとても繊細で、

ポジティブなもの、必要以上の娯楽、他人の笑顔、

ときにはそういったものでさえ、苦しみや憎しみの対象に成り得る。

 

 

その辺りはとても難しいですが、少なくとも、

当事者やその周囲の人たちに、注意深く気持ちを聞くことは

必須であることは間違いありません。

 

今回の「IF ONLY FOR A SECOND」の場合、

ガン患者の方々にとても寄り添い、気持ちをすくい上げ、

"ガンの恐怖が片時も頭を離れることはない"という、

深い深い深層心理に辿り着いている。

ここがまず、何より素晴らしいのだと思います。

 

その見つけた深層心理に対して、

"たった一秒だけでもいいから、ガンの苦しみを解放できたら..."

という、欲張りすぎないポジティブな発想の飛躍。

 

そして、ガンを想起させてしまう顔色、皺、髪型...

そういったものを全て払拭するため、

"姿かたちを、もう一度生まれ変わらせる"

という、きちんと課題に基づいた解決のコミュニケーション。

 

着眼から表現まで素晴らしいからこそ、

"たった一秒"であっても極上の喜びが生まれ、

その瞬間は"永遠"に、忘れられることのないものになっていく。

 

ていねいに、ていねいに、

「どうしたら一秒だけでも、苦しみから解放させてあげられるか」

を考え抜いた企画側の方々の想いも透けて見えるようで、とても感動しました。

 

 

そして、ひとつ、あらためて思ったことがあります。

 

それは、

"もう一度生まれ変わる"

ということが持つ、強い強い感動についてです。

 

様々なコミュニケーションを通じて

生活者を楽しませよう、喜ばせよう、という企画はとても多い。

 

でも、それはある意味、

「あなたはあなたのままでいいから、私たちがあなたに合わせますね」

という、極度のおもてなし精神の行き着く先のようにも思えます。

 

その結果が、世界にも類をみないサービス精神であり、

我々の「企業が自分たちに合わせるのが当たり前」という態度にも繋がっている。

 

それが間違いだと言いたいわけではないのですが、

少なくとも「相手を楽しませよう、喜ばせよう」と考えたとき、

 

"相手を、もう一度生まれ変わらせる"

という切り口には辿り着きづらい気がします。

 

だからこそ、その切り口が確かに存在していることに、

少しハッとしてしまいました。

 

 

生まれ変わったように、自分のここを、こうしたい。こう変わりたい。

でも、なかなか変われない。自分の醜いところは、ずっとこのままかもしれない。

誰もが持つ、深層心理かもしれません。

 

だからといって、他人に変化を強要されると、とても煙たい。

拒絶反応でさえ示すかもしれない。

 

それでも、たとえ強要されたのだとしても、

自分が本当に望む変化を手にできたのだとしたら、きっと感動する。感謝する。

 

心のどこかで、時には強引に手を引っ張って、

新しい世界へと連れ出してくれる存在を待っているのかもしれません。

 

 

相手と真摯に向き合い、本当の気持ちに気づくことは必須ですが、

周りの環境を変えるのではなく、嘘の演出ではなく本当に

"自分自身が生まれ変わったように◯◯になれる/できる"

を叶えてあげることは、最高の喜びにつながる可能性を秘めていると感じます。