思考の補助線

徒然なるままに、思ったことを書き留めます。

好奇心を刺激する"プラシーボ効果"で日常を豊かに変える「The SF Mirrors」

今回取り上げるのは、

ふとした幸せを街のあちこちに広げるパブリックアートプロジェクト

「The SF Mirrors」を。

 

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Track down your favorite teacher and thank them for helping you get where you are today.

”好きだった先生を見つけて、自分が今の場所にいられるのは先生のおかげだと感謝しよう”

 

このアイデアは、インスピレーションを与えたり、

勇気づけたり、希望を与えたりするメッセージが記された鏡を

サンフランシスコの街中に設置するというもの。

 

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Sometime this month, do something you'll remember for the rest of your life.
“今月のどこかで、これからの人生でずっと忘れることのない何かをしよう”

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Looking good. Ask him/her out for some coffe today.

“よし!いい感じだよ。彼 / 彼女をコーヒーにでも誘ってみよう!”

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If this was your last year alive, what would you be doing differently?

もし今年が生きられる最後の年だとしたら、あなたはいつもと違ってどんなことをしているだろう?

 

街中を歩いていると、ふと、自分の姿とももに

ちょっとした好奇心をくすぐる言葉たちが並べられている。

中には余計なお世話だよ、なメッセージもあるかもしれませんが

でも確かに、その日1日の過ごし方が少しだけより良くなるかもしれません。

 

このアートの面白いところは

いったん好奇心を刺激されてしまえば、日常に対する見つめ方が変わり

無関心に通り過ぎていただけのモノや時間が豊かに変わってしまう

"プラシーボ効果"にこそあると思います。

 

 

プラシーボ効果とは、ご存知の通り、

風邪薬ですよとただのビタミン剤を患者に処方しても

患者自身が「これで治る!」と信じ込んでいると

本当に風邪薬を処方したかのような効果が表れる現象を指します。

 

これを活用し、たとえばとある試乗ディーラーでは、

他車と大きな違いはないがこだわりのあるエンジンを搭載させた車に

来場客を乗車させた際、顧客がエンジンをかける前に

 

「エンジンをかけたときに、よく耳を澄ましてください。

 唸るような重低音が鳴り響き、あなたの身体を心地よく揺らしますよ。」

 

といった声掛けをすると聴いたことがあります。

このように声をかけられた乗客は、たとえ他車と大きな違いはなくとも、

あたかもその重低音、エンジンがとても良いものに感じられるでしょう。

 

このように、意図的な「事前情報」を仕込むことで、

その後の身に起こる物事、感覚を事前情報にもとづき理解させ、

良いものと錯覚させてしまうことができます。

 

 

このアートでも、なんでもないただの日常を

「好きだった先生と、もしかしたらあの角を曲がったら会えるかも」

「今日の自分だったら、大好きなあの人も惚れちゃうかも」

「明日死んじゃうかも...としたら、今日何してみようかな」

という事前情報をうっすらと信じこませることで

その後の行動に、今まで抱かなかった期待や好奇心を寄せることになります。

 

好奇心を刺激する"プラシーボ効果"で、日常は少しずつ豊かに変えられる。

そんな可能性に満ちたアートにも思えました。

 

 

同様の取り組みで、たとえばSonyが実施していた

「好奇心活性化プロジェクト」も、まさにこれにあたりますね。

 

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他にも、好きな言葉でいうと、

今、この下りエスカレーターは地球の中心に向かっていると想像してみよう。

雨が降ってきたら、雨を待っていた人のことを想おう。

1通のメールを1回の電話に変えてみよう。

とかは、いいなぁと思いました。

 

六本木のいたるところに、上記のようなOOHを掲出することで

待ち行く人たちの好奇心を刺激し、プラシーボ効果を与え、

日常を見つめるまなざしを豊かに変えてしまいます。

 

 

また、さらにこれを“まちづくり”にまで発展させている例としては

現在森ビルが実施している「森のこびと ヒルボックル」があります。

 

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六本木ヒルズの105万個のイルミネーションのなかに隠れているそうです。
みつけたら 恋を叶えてくれるなんて噂も。

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土曜日の昼、 アークヒルズマルシェで野菜を選んでいました。
お店のひとにシチューのレシピを聞いていたとか。
たくさん買い物をしたら駐車料金が無料になって
いたく感動していたそうですよ。 

https://www.mori.co.jp/hillbokkur/

 

これは、森ビル施設周辺には森の小人「ヒルボックル」がいると設定し、

ラジオやWEB、冊子などで物語を紡ぎながら

実際に街のいたるところにもひょっこり現れては

見つけた人には〇〇なことが...という小さな幸せが訪れる、というもの。

 

街歩きそのものが、豊かな体験に変わる可能性を秘めています。

 

 

その他にも、最近よく

「アニメ × 地域活性化」という手法が見受けられますが、

 

涼宮ハルヒの憂鬱

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あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。

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「この街に、あのキャラクターがいるかも!?」

という事前情報がプラシーボ効果となって、結果

聖地巡礼”という現象を生み出していると解釈できます。

 

 

なんでもない日常が、少しでも良いものに変わってしまうような。

そんな体験が、日本の様々なところでできたら面白いですね。