思考の補助線

徒然なるままに、思ったことを書き留めます。

"いつもは起動しない”ことで使用者を魔法使いに変えるウェアラブル「Dorothy」

古い事例ばかりではなんなので、

今回は最近のアイデア事例を。

 

取り上げるのは、「オズの魔法使い」に登場する、

”かかとを3回打ち鳴らすと家に帰れるドロシーの魔法の靴”から着想を得た

ウェアラブル端末「Dorothy」を。

 

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このウェアラブル端末は、オズの魔法使いよろしく、

かかとを3回打ち鳴らすことでスマホが起動し、

誰かに電話をかけたり位置情報を送れたりするというもの。

 


Dorothy on Vimeo

 

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事前に登録しておいた連絡帳から誰かに電話をかけて

退屈な会話の途中に抜け出すことができたり、

 

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あるいは誰かに位置情報を送ることや、

Uberと連携してタクシーを呼ぶこともできる。

 

 

ウェアラブル端末を、単に

「着用するだけ=いつでも機能が堪能できる」

とするのではなく、

 

使用者にしかわからない”おまじない”を通じて

人知れず機能が作動する、というところに

何か悪いことをたくらむようなワクワク感が生まれています。

 

 

ここに、僕は、

ウェアラブル端末に対する漠然とした不信感の正体と、

それに対するよりよい在り方のヒントを垣間見たように思います。

 

もともと、僕はウェアラブル端末に対して、

不信感というか、「そんなもの、本当に使うのか?」

という疑念、うさんくささがあって。

 

それは、Google GlassNIKE FUEL BANDを筆頭にした

ウェアラブルがもたらす生活が、

人が暮らす上で本当に必要、あるいはとても刺激的、

という印象がどうしても薄かったからかもしれません。

 

たしかに、目の前の光景に対して

様々な分析情報が浮かび上がったら楽しいのかもしれません。

自分の運動量が逐一計測されインプットされると面白いのかもしれません。

 

しかし、いつもなんでも情報がほしいわけでもありませんし、

知らないほうが自然と目の前のものと向きあえていいこともあったりします。

 

「そんな”余剰な”機能を、いっつもは求めないよ」

「そんな”余剰な”機能のために、今の行動・習慣を変えるのは面倒だよ」

 

そんな思いが、どこかにあったのだと思います。

人間の能力や生活環境を”勝手に””常時”アップデートされてしまうことが

なんだか億劫で、いいものなのかどうなのかわからないという思い。

 

すごいのはわかるけど、本当に求めていた生活が手に入るのかといわれると

ちょっとズレてるんだよなぁというか...。

 

 

でも、今回この「Dorothy」を見て、

「これならぜひ欲しい!!」と思いました。

 

単純に、使用シーンが本当に使いたい場面を描けてますし、

他にも、たとえば万が一、誘拐されたり危険な目に遭ったりしたときに

犯人に知られずにSOSを送ることができそう、

といった様々な実用性が感じられます。

 

そして、”相手に気付かれずに、自分だけがわかる方法で”

この機能が操れるというところに、

 

魔法使いになったような、

もっと強くて嫌らしい言葉を使ってしまえば

自分が相手の上に立てるような、

そんな優越感にも似た感覚をもたらし高揚感を与えてくれます。

 

そして、そうした人間の能力を拡張する機能を

”自分の思うままにコントロールして使える”という、

人間 > 機械 という関係性が見えることも、結構重要なように思います。

 

機械の機能に人間が支配されるのではなく、

自分の意志で思うままに起動・停止ができる。

 

そう、これまでのウェアラブルには、

機械都合で自分が縛られ合わせなければならないことに

潜在的なストレスを抱えていたんですね。

 

 

「Dorothy」はこのストレスを

 

・常時は起動せず、”本当に必要なとき“に応じて使える

・自分だけの”おまじない”で起動する

・それが相手には悟られない

 

とすることで、使用者に対して

 

「機械よりも人間が上に立ち、コントロールできる」

「相手を痛快に出し抜ける」

 

と感じさせ、クリアできているのが大きい。

 

"いつもは起動しない”という機能を付けたことで、

「必要なときだけ魔法使いになれる!」

(=不必要な時まで、新しくて疲れそうな生活を送るハメにはならない)

と感じさせることに成功した、とも言えるかもしれません。

 

 

これをヒントに、たとえばGoole Glassでも

「ウインクを2回したときだけ、写真が撮れる」といった

限られた機能だけをコントロールできる仕様にするだけで

僕は断然、欲しいと感じます。

 

常に起動することで生活をガラリと新しくしてしまった方がいい、

という発想を捨てて

 

"いつもは起動しない”ことで

本当に必要なときだけ魔法使いに変われる

と感じさせられるという発想。

 

今後、こうしたウェアラブルに注目したいと思います。